愛する人が苦しんでいるのを見ていたり、淋しがっているのを考えたりする時、人間はノドに刃物を突きさして自殺したくなる。そして、思わずあたたかい言葉をかけてしまう。
その時、その人は相手を救うためにあたたかい言葉をかけたのではなく、自分を救うためにあたたかい言葉をかけたのだ。その人があたたかい言葉をかけたのは、自分の苦しさに負けたのである。
この人生は強くなることによってしか生きていくことができない。どんなに他人を愛してみたところで、その人を救うことなど人間にはできない。
人間には他人を救う能力はない。人間が救われるためには、その人が精神的に強くなることが必要である。人間が強くなるためには、あらゆる苦しさ、あらゆる寂しさに耐えなければならない。
あらゆる苦しさとあらゆる淋しさに耐えて強くなるのだ。したがって、他人が苦しんだり淋しがったりしている時、あたたかい言葉をかけるべきではなく、冷ややかにそれを見守らなければならない。それをできる人間だけが、人を愛する能力をもっているのだ。