心理的健康について 第51回 [2002/01/25]

第9章 神経症的競走1(1)

 今回から神経症的競走の特徴について書いてみたい。
 日本では時々競走は子供の心を傷つけると言って競走を取り止めにする話を聞く。運動会で賞品を取り止めにするとか、試験の点を皆合格にするとか、それが暖かい人間的なこととされることがある。「競走はよくないこと」と言う主張である。
 その時人々がイメージしている[競走]とはこれから説明する神経症的競走であろう。「競走はよくないこと」と言った時に本来の意味での競走は意識されていない。

 運転免許の書き換えの時にもらった本がある。運転者の中には、前方に車がいると、わけもなく追い越そうとしたり、追い越されるととたんに速度を上げる人がいるという(註:「頭脳的安全運転」「財団法人全日本交通安全協会、54頁」)。これが神経症的競走である。そしてこれに対してこの様な運転は危険を招き、疲れるだけだと書かれている。まさに車の運転論は人生論である。
 私はこの本を読みながらおかしくなるほど、車の運転の仕方は、人間の生き方だと思った。車で事故を起こさないような態度、考え方で生きれば、人生も間違えないと思った。私は夢中でこの本を読んでしまった。



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加藤諦三、加藤諦三研究室