心理的健康について 第13回 [2001/02/17]

第4章 神経症者の要求の特徴2 (3)

 自己中心的な人は自分の心の葛藤に完全に囚われて消耗している。だから相手には相手の立場や、必要や、悩みや、忙しさがあると言うことまで考えるゆとりが無い。従って相手に迷惑をかけながら、迷惑をかけていると言うことには気が付かない。相手だって大変かも知れない。相手だって相談したいように悩んでいるかも知れない。これがどうしても理解できない。
 自己中心的な人にとって「現実」とは「自分が今したいこと」だけである。他人もまた「今したいこと」「今しなければならないこと」があるということを認められない。他人の「したいこと」「しなければならないこと」は彼にとってこの世の中には存在しないのである。彼にとってはそれは現実ではない。

 そして相手との関係で自分の被った被害を強調する。例えば自分が相手と会うために遠くからでてきたとする。すると自分はどこそこから出てきたと被害を強調する。勝手に出てきておいて「自分はこんなにまでした」と強調する。実はたいしたことをしていないのが通常である。しかし被害を強調する。
 彼等は消耗と心の悲惨さ訴えているのである。問題は彼等が具体的に被った被害ではない。だから第三者から見ると「あれしきのことで、何であそこまで言うのだ?」と不思議になる。
 そして彼等は相手からの愛の言葉を求めて居る。怒りの表現と愛を求めることを同時に行おうとするから、自らが被った被害の強調となる。だから悩んでいる人は常に「私はこんなに酷い眼にあった」と被った被害を訴えるのである。
 
 そうして相談に来た悩んでいる人に「君は姿勢が悪いから、まず姿勢を正すことだ」などと言うような具体的なアドバイスをすると怒る。ではなぜ悩んでいる人は具体的なアドバイスに怒るのか。それは姿勢を正して愛されるようになると想像できないからである。彼等は愛を求めているので、相談しているわけではない。



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加藤諦三、加藤諦三研究室