心理的健康について 第12回 [2001/02/09]

第4章 神経症者の要求の特徴2(2)

 自己中心的な人は常に人間関係がこじれる。自己中心的な人は自分が「独善的に」「誠意」を尽くせば相手も自分に誠意を尽くすのが当たり前と感じている。そして自分の期待した反応がないと「自分がこんなにしているのに、」と相手に不満を持つ。「私がこんなにしているのに」と言う不満を持つが、周囲の人に言わせれば「お前にしてくれとは頼んでいない」ということである。
 自己中心的な人は相手の感情を無視している。例えば、自分が相手に会いたい時に、相手は自分に会いたくないということは思いも寄らない。あるいは相手に自分と会う時間的ゆとりがあるかないか等は思いも寄らない。つまり相手に個人としての人格を認めていない。
 そして思うように行かないとすぐに「誰も私を分かってくれない」と不平を言う。そもそも相手はその人がそんなに「独善的に」「誠意」をを尽くすことを求めていない。しかし自己中心的な人は、自分の誠意のつくし方が間違っているということが理解できない。

 悩んだ人がよく手帳や日記を送ってくる。或いは研究室に来て手帳をおいていく。そしてそれに対する相手からの反応がないと「私がここまで自分を打ち明けているのに」と猛烈に不満になる。「命の次に大切な手帳をあなたに見せたのに、あなたは、、」とものすごく怒る。まんいちその手帳をなくそうものならおそらく一生恨まれるであろう。
 彼が理解できないのは「私にとって大切なもの」が「他人にとって必ずしも大切なもの」ではないと言うことである。他人の手帳を見たいなどと思う人はまず居ない。そこがどうしても理解できない。
 よくそこまで自分の過去の傷を人に打ち明けなくてもいいのにと思うほど打ち明ける人がいる。誰にも不必要に自分の恥部を打ち明けて話をする人はたいてき自己中心的である。打ち明けることで相手からの同情とか保護を求めているのである。
 おそらく手帳をおいて行くのも、不必要に自分の恥部を打ち明けるのも、相手に「母なるもの」を求めているのであろう。無意識のうちに相手と疑似親子関係を築こうとしているのである。神経症者が相談に来たからといって悩みについての具体的な解決を求めているのではない。



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加藤諦三、加藤諦三研究室