心理的健康について 第41回 [2001/11/06]

第7章 神経症者の要求の特徴4(13)

 理想像への執着は、恥ずかしい心理的幼稚さをさらけ出していることであり、かつ愚かなことである。高校生が得意になってタバコをすったり酒を飲んだりしていれば、まともな大人は皆彼らが幼稚だと思うだろうし、愚かだと思うだろう。
 「こうならねば」と言う自分の理想像に執着している人は、それと同じ事をしているのである。本人は自分はレベルが高いと得意になっているかもしれないが、周囲のまともな人たちは「いつまでも幼稚だな」と思っている。

 そこで神経症的傾向の強い人がどうすれば心理的に健康な人になれるかを考えたい。
 まず二つのことがある。一つは親からの心理的離乳。もう一つは毎日何でもいいから小さなことを続けること。

 何事のおいてもいき方を間違える人は、地に足のついたことをしないで派手なことをしたがる。なぜそうなるかはすでに今までに説明しているので理解してもらえるだろう。人生でつまずいて立ち上がれない人はまず日常の生活をきちんとしていない。生き方を間違える人は今現在を大切に生きていない。人生を間違える人は毎日毎日することをきちんとしていない。
 毎日鉢植えに水を上げるというのでもいい。そうすれば花が咲いて、そこに喜びがある。毎日水を上げないで咲いた花を見るのと違う。どんな小さなことでも毎日きちんとするというのが大切なところである。
 或いは三度の食事をきちんと作る。だからこそたまに外で食事をするのが楽しい。たまに豪華なフランス料理をつくるよりも毎日毎日三度三度の食事をきちんとするほうがはるかに大変である。神経症的傾向の強い人はたまに豪華なフランス料理をつくることに熱心で、毎日毎日三度三度の食事をきちんとしない。



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加藤諦三、加藤諦三研究室