心理的健康について 第29回 [2001/07/12]

第7章 神経症者の要求の特徴4(1)

 今回はカレン・ホルナイの言う神経症的要求の特徴の四回目で、最後である。その特徴は復讐性である。神経症者の要求には復讐性があると彼女はいう。
 側から見ると恵まれた人生を送っている人が居る。しかし本人は辛い人生だと悩んでいたりする。なぜ辛がっているのか?その一つのケースはその人が自分の理想像へ執着しすぎるからである。神経症者は現実の自分の実力、能力、適性を無視して、何としても「理想の自分」になろうとするからである。だから疲れていても仕事を休むことが出来ないのである。彼らは走って走って走り続ける。恐ろしいものに追いかけられて走っている。彼らも誰かが自分を助けてくれると思えば、止まるだろう。しかし誰も助けてくれないと思うから止まれない。

 自分がしたいことをして、結果として「恵まれた人生」になった人と、皆が「わー、凄い」と言うことをして、恵まれた人生になった人では、同じように社会的経済的には恵まれていても幸福感は全く違う。皆が「わー、凄い」と言うことをして成功した人は、端から見て恵まれていても、生きるのが辛い。「生きるのが辛い」とは心が満足していないと言うことである。「端から見て恵まれていても、生きるのが辛い人」は人に見せるための人生を送っている人である。
 辛がっている人の問題は「自分の理想像への執着」なのである。ただ「自分の理想像への執着」と言うと何かかっこいいようだけっども、それは単に虚栄心が強いと言うだけのことである。
 「理想の自分」とは要するに、皆から「わー、すごい」と賞賛されるような人間である。もちろん心理的に健康な人も皆から「わー、すごい」と賞賛されたい。しかしそれはあくまで自分が好きなこと、自分の適性にかなったことで成功して褒められたいということで、神経症者の様に自分の適性と関係なく、褒められたいとは思わない。
 神経症型の人は現実の自分の実力、能力を無視して、何としても理想の自分になろうとする。だから疲れていても仕事を休むことが出来ないのである。彼らは走って走って走り続ける。恐ろしいものに追いかけられて走っている。彼らも誰かが自分を助けてくれると思えば、止まるだろう。しかし誰も助けてくれないと思うから止まれない。
 だから神経症者は何としても出世をしたい。それは何であってもいい。皆から尊敬されるものであれば、自分がそれを好きか嫌いかは問題ではない。というよりも神経症者は自分が何を好きか嫌いかが分からなくなっている。
 そして神経症的になればなるほど自分の出来ないことをしようと焦る。それはいよいよ自分の願望ではなく、他人の羨望を求めて行動するからである。八ヶ岳に登よりも、キリマンジェロに登ったほうがみなから「わー、すごい」と言われる。そう言われて、幼児期からの憎しみや、苦しみを一気に吹き飛ばしたい。



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