心理的健康について 第19回 [2001/04/24]

第5章 神経症者の要求の特徴3(6)

 第二は、「それにふさわしい努力」をすることは現実の自分に直面することだからである。先生をけなしていれば、勉強しなくてもいい。勉強なんて下らないといっていれば、勉強する努力をしなくてもいい。
 「それにふさわしい努力」とは、その様にして現実から逃げないと言うことである。だから「それにふさわしい努力」とはまず自分に直面する努力である。信じられる人が居れば「それにふさわしい努力」をする。信じられる人が居れば現実に直面できるからである。
 逆に信じられる人が居なければ「それにふさわしい努力」はきつい。日常生活が苦しい。彼等はそれを紛らわすために名誉がほしいのである。彼等は毎日毎日無理をしている。この毎日の日常生活に耐えられないのが神経症である。
 例えば人は彼等に「友達が欲しければ、自分から友達になる努力をすればいいじゃーないか」と言うようなことを言う。心理的に健康な人は「自分が歩み寄らなければ人がきてくれない」と言われても、それほどきつくない。しかし神経症者には「自分が歩み寄る」ことがきつい。拒絶されるかも知れないからである。現実の自分に直面していくことよりも、一人でいることを選ぶ。
 第三に神経症者は具体的な目標がないから「それにふさわしい努力」をしないのである。家が欲しいという人は努力する。もっと働けばいい。家を買うという目的があるから。このくらい働けば、このくらいのお金がもらえると知っている。現実を知っている。自己実現する人は目的があるから働く。
 具体的な目標がない神経症者は非現実的な夢に逃げる。だから努力をしないで、愚痴を言い、現状に不満でイライラしているしかなくなる。



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加藤諦三、加藤諦三研究室