心理的健康について 第8回 [2001/01/11]

第3章 神経症者の要求の特徴1(1)

 アメリカの著名な精神科医カレン・ホルナイが神経症的要求と言うことを言っている。神経症者のする要求である。心理的に健康な人のする要求と神経症者のする要求とどこが違うのか。彼女は神経症的要求には四つの特徴があるという。今回からその四つを一つ一つ考えていきたい。

 先ず第一に神経症者のする要求は非現実的 である。
 「要求が非現実的」とはどういうことであろうか?例えば自分が病気になったら皆はすぐに見舞いにくるべきだと思う。そしてそれを当然のことの様に考える。人には人の都合があるとは認めない。自分が病気の時に助けてくれない人が居ると恨む。そして不公平だと感じる。
 つまり隣人や家族が天使であることを期待する。みんな自分と同じ人間であると言うことを受け入れない。人が病気の時に助けてくれないのは、常日頃の自分の利己的な行動の「つけ」だとは決して思わない。逆に「けしからん、冷たい人達だ」と自分の日頃の行動を棚に上げて憤慨する。
 或いはまた、配偶者はいつも機嫌よくしていて欲しい、機嫌良くないと不服になる。配偶者も人間だから機嫌が悪いときもある。しかしそれを認めない。
 自分の招待を誰かが断わる。するとものすごく怒る。人には人の都合がある。しかしそれを受け入れない。 
 大して働いていなくても自分だけは昇給するのが当たり前と思っている。「仕事の改善のためにどれだけのことを自分はしたか?」等とは反省しないで、会社で自分だけには良いポジションが与えられるべきだと思いこんでいる。そして対面だけは気にする。
 「情緒的に未成熟な親は子供の自然な成長を待てない」と言う。つまり神経症的な親は子供のうちから大人のような行動を子供に期待する。つまり子供に非現実的な要求をする。子供は子供なのである。
 車を運転していて、信号がいつも都合よく青でないとイライラする。完璧な結果を求める。これらの非現実的な要求は外の世界についてばかりではなく、時に自分自身に対する要求についても同じである。床につけば、すぐに寝付けないとイライラする。自分に対する非現実的な要求は通らない。そこで自分に対する怒りが生じる。それが自分で自分を受け入れないということである。



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加藤諦三、加藤諦三研究室