心理的健康について 第77回 [2002/08/22]

第15章 行動と動機4(4)

 子供の動機を考えない母親は激励の時期も間違える。
 子供が集中してやっているときには、激励をする必要がない。お節介な母親は子供が集中しているときに、激励してうるさがられる。相手を見ていない。集中しているときにはほっておく。あくびを始めたらお茶を入れてあげて、「頑張っているわねー」と言えばいい。その激励のタイミングを間違える。激励は勉強が終わった後。やっている最中はいけない。

 人は同じ様に煙草を吸っていても、動機は違う。高校生の煙草は大人への反発から。大人の煙草はストレスから。キャリアーウーマンの煙草は「仕事が出来るふりをしたい」から。ホームレスの煙草は「やすらぎ」から。
 だからそれを止めさせるにはその動機に応じて対策をとらなければ無理であろう。

 アメリカの「たいへん効果的な人々の習慣」という本に著者の次のような体験が紹介されていた。「あるときに日曜の午前中に地下鉄に乗っていた。それまでは乗客はそれぞれ静かに座っていた。そこに親子が乗ってきた。子供は騒ぎ回っている。皆は苛立つ。著者も苛立ち、ついにもうすこし子供を静かにさせるようにその父親に言う。
 するとその父親が謝りながら、今病院で母親が死に、どう考えていいか分からないところだという。それを聞いて著者はその子供の騒ぎに苛立たなくなった。」

 動機を正しく理解することは他人を正しく理解することであり、コミュニケーションの第一歩である。人は神経症者になればなるほど人の行動や口先を見て、動機を見ない。



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加藤諦三、加藤諦三研究室