心理的健康について 第57回 [2002/03/09]

第10章 神経症的競走2(3)

 要するに神経症的競走をする人は、「敗者」につきものの感情を抑圧するということである。結果的には心は葛藤に苦しみ、不安にさいなまれることになる。いつまでも成長できないまま人を愛することができず、いつも不機嫌に苦しむことになる。
 神経症的競走をする人は、負けたと思ったときに、イソップ物語のキツネのように、欲しい葡萄を取れなくて、[あの葡萄は酸っぱい]と言う解釈で他人の優位に立とうとする。
 だから人生で感動を失う。その解釈は一瞬の苦しみを助けてくれる。しかし空しさはすぐに出る。後で普通の人以上に落ち込む。普通の人以上に不安になる。
 神経症的競走をする人が、自分の心の葛藤を解釈で解決しようとしても、それは所詮無理である。自分は何故そんなに身構えて生きなければならないのか?心の底を見つめることの方が、解釈よりもはるかに重要である。
 実は仕事にしろ、結婚にしろ、それらの間違いは一つの人生の体験であって、決して彼は「敗者」ではない。彼が勝手に自分をそう決めつけているだけである。



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加藤諦三、加藤諦三研究室