人を育てる 第57回 [2003/12/18]

優しい母親とは?

 子供が学校で怒られて残される。
 母親が学校に迎えにくる。
 自然な子の母親は終わったことを終わったこととしてくれる。
 そして一緒に走って「やりきれない感情」を吹っ切ってくれる。
 しかし「良い子」の母親はそこでもう一度くどくどという。
 優しい母親とは優しい言葉を使う母親ではない。
 優しい母親は、言うときは言っても、あとはやさしく面倒を見る。あるいは「もしかしたら、敢えて言わないほうがこの子は素直になる」と思って何も言わない。こうして子供の感情を整理してくれる母親が優しい母親である。

 子供が夏の暑い日に家に帰ってくる。「暑かったでしょう」と母親が言う。その後、
 「自然な子」の母親は体を拭いてあげようとする。
 「良い子」の母親は冷房をつける。

 「良い子」は、不安だから寝付きが悪い。
 「自然な子」は、満足しているから寝付きがいい。
 「良い子」はいつも体調が悪い。緊張しているから頭が痛くなったり、したいことをガマンしているからおなかが痛くなったりする。そして心の底は無気力で、身体はいつもだるい。
 それにたいして「自然な子」はいつも体調がいい。「自然な子」は親の前でリラックスしている。自分の言動で親の感情が急に変わらないからである。
 「良い子」は親の前で不安な緊張をしている。いつもびくびくしている。それは自分の言動で親がいきなり怒り出すからである。
 ちょっとした一言で親が急に不機嫌になる。そこで今、親が機嫌良くても、いつも言葉には気をつけていなければならない。笑っていた親が、自分のちょっとした仕種でいきなり「ヤダなー、その態度は」と鬼瓦の様な顔になる。



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加藤諦三、加藤諦三研究室