人を育てる 第54回 [2003/11/25]

「良い子」は好きなことがない。

 「良い子」は確かにしてはいけないことをしない。しかし「これをしたい」と言うことがない。
 つまり「良い子」はいくつになっても自分がない。自分をなくしたら、好きなものは考えられない。「良い子」はどう生きたらいいか分からない。「良い子」は自分は、誰が好きだかも分かっていない。
 とにかく「良い子」の最大の問題は自分の好きなことがないと言うことである。本気で「これがしたい」ということがないことである。好きなことが見つかればそれにエネルギーを向けることができる。しかし好きなことが見つからない。
 そして「良い子」は好きなことをしていないから様々な不必要なトラブルを起こす。競争すべき人でない人と競争する。張り合うべき人でない人と張り合う。だから本来仲良くできる人とも仲が悪くなる。
 ウサギとカメとが自分があれば、お互いに競争しない。だからお互いに仲良くなれる。しかしウサギとカメとが自分がないと、お互いに競争して勝ち負けの勝負をする。遅い亀を、早い兎が馬鹿にしたりするからお互いに嫌いになり、仲が悪くなる。
 ウサギとカメが仲悪くなるのはお互いに自分でない自分になろうとしたときである。カメがウサギになろうとするから、ウサギをうらやましいと思いウサギをねたむ。そしてウサギのあら探しをして「イヤねー、あんなに目が赤くて、不安そうで」と悪口を言う。そしてウサギを嫌いになる。
 もしカメが水の中でも生きていられるという自分の特徴を知って、カメとして生きようとすればウサギが好きでいられたのである。ウサギと同じに生きようとしたためにウサギを嫌いになった。
 だから「良い子」は挫折するのである。「良い子」は周囲の人が皆嫌いである。



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加藤諦三、加藤諦三研究室