人を育てる 第27回 [2003/04/23]

子供が伸びる伸びないは、親の価値観によるところが多い。

 今の母親は子供が泣いたときにどう対処するか。最近の母親は、自分の子供が人前で泣いた時、なぜこの子は泣くのだろうと泣く原因を考えるよりも、「何で泣くのだ」と怒る気持ちと「みんなの前で泣いたりして、困ったなー」という気持ちが強い。そして泣く事を止めさせたいと思う。つまりなぜ子供が泣くのかという気持ちを汲んであげてない。
 子供が泣くのは大人が酒を飲んで騒ぐのと同じである。子供は泣いてストレスを発散している。子供は泣くことで感情を出している。言葉で表現できないものを泣くことで表現している。たとえば「悔しい」という感情を泣くことで訴えている。子供はその感情を出したあとでエネルギーが出てくる。
 「泣く子は伸びる」といわれるが、最近の母親は、泣く事がいけないことだと思っている。そして泣く子供を拒絶する。その事でせっかく伸びる才能をつぶしていることがある。
 拒絶するということはなにも「泣くんじゃないのよ」と叱ることばかりではない。「勝手に泣いたら」などというのも拒絶である。
 泣くということは感情があるということである。子供が泣かないで能面になったら、そのときは恐ろしい。憎しみがある。泣くことよりも無表情のほうが恐ろしい。
 泣く子の気持ちを本当に汲んであげた時、子供は心が安定し、重圧から逃れ、必死で頑張る。そして子供の能力が発揮されることがある。子供が伸びる伸びないは、親の価値観によるところが多い。
 ただ「泣く子供は伸びる」といっても泣くことの原因を考えなければいけない。「プールがこわい」といって泣いている子供は恐怖心から泣いている。汲んであげる必要がある。その泣くのとピアノの練習が「いや」だとわがままで泣いているのとを同じに考えてはいけない。
 泣く子供は、やろうという意欲がないわけではない。しかし「あれをしなさい」「これをしなさい」という周囲からの重圧を感じて悲鳴を上げている。そして周囲が期待するほど自分は出来ないのではないかと苦しんでいる。その周囲からの重圧とやろうという意欲の板ばさみになっている。
 好きな人の為に、頑張ろうとする気持ちがあっても、きっと好きな人は今やっている事を見て、もっと多くの事を求めるのだろうと思う。その気持ちが、自分を追い詰め、辛くさせている。



BACK← →NEXT
「人を育てる」目次へ戻る
トップページへ戻る

このページに掲載されている記事などの無断転用を禁じます。

Copyright (C) 2000-2006
加藤諦三、加藤諦三研究室